一般的には大腸カメラと呼ばれる検査です。大量の下剤を内服し、大腸の中が綺麗になったら肛門からスコープを挿入し、大腸の観察を行います。憩室、炎症、ポリープ、癌などの有無を調べ、病変があった場合はその一部を採取(生検)することで、悪性かどうかを検査することが可能です。また、大きさ等の条件によりますが、その場でポリープを切除することも出来ます。

ところで大腸カメラというと、痛みやお腹が張って苦しい検査といったイメージが多くあるのではないでしょうか。大腸は細長く伸び縮みする臓器ですが、スコープが入った時に大腸が伸びると痛みを感じます。また、空気を入れて腸に溜まってしまうと苦しさを感じます。そこで当院では、大腸を出来るだけ伸ばさないように、蛇腹をたたむ様なスコープ挿入を行い痛みを感じにくくすると共に、空気よりも吸収されやすくお腹の張りが少ない二酸化炭素を使用して、出来るだけ苦痛を減らすようにしています。但し、痛みの感じ方は個人差が大きい為、鎮静剤を用いてボーッとした状態で検査を行うことも出来ます。

下部消化管内視鏡(大腸カメラ)

下部消化管内視鏡を検討する症状

腹痛、腹満、持続する下痢、便秘、便が細い、排便時出血、血便、便潜血検査陽性など

下部消化管内視鏡で判明する病気

感染性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性腸炎、腸結核、大腸憩室、大腸ポリープ、大腸癌、痔核など

下部消化管内視鏡の流れ

1. 検査前診察
まず、外来を受診してください。診察、日程予約、採血(感染症など)、検査の説明を行います。使用している薬の調整が必要な場合もありますので、お薬手帳をお持ちください。
2. 検査前日
便が残りにくい検査食を摂ってください。検査食を摂れない場合、それに準じた内容の食事を摂ってください。睡眠前に下剤を内服してください。
3. 検査当日
当日は食事を摂らないで、指定された時間から自宅で下剤を内服してください。頻回に排便がおき、便が透明な水様になりますので、指定された時間に来院してください。水やお茶は飲んでも構いません。常用薬の内服は指示に従ってください。
4. 前処置
検査着に着替えをします。排便が不十分な場合は、浣腸を行う事もあります。
5. 検査
肛門から内視鏡を挿入して検査を行います。検査時間は、大腸の長さ、病変の有無、生検の有無などによって異なりますが、15~30分程度です。ポリープ切除を行う場合はもう少し長くかかります。
6. 検査後
検査終了後、リカバリーベッドにてしばらくお休みいただきます。
7. 検査後診察
休憩後、検査結果を診察室で説明します。生検・ポリープ切除を行った場合は、最終結果が出るまで7~14日ほど必要ですので、その頃に再診してください。
8. 帰宅
帰宅後は、生検・ポリープ切除の有無、鎮静剤の使用の有無によって食事・運動などの必要な制限が異なりますので、詳細はお尋ねください。

鎮静下内視鏡について

上部内視鏡、下部内視鏡とも以前と比べると細くなり、挿入法も工夫されて苦痛は軽減されてきています。ただ、人によって痛み、苦しさの感じ方は大きく異なるのが実際のところです。例えば、喉の表面麻酔もなしで胃カメラを挿入されても平然としている方もいれば、口から胃カメラを5cm入れただけで、まだ喉にも到達していないにも関わらず、オエッとする方もいます。

また、お腹の手術をした方は、術後の癒着のために大腸カメラを入れた際に強い痛みが出ることがあります。あまりに嘔吐反射が強かったり、痛みで体が動いてしまうと、検査が出来なかったり、体の中に入っている内視鏡で胃腸を傷つけてしまう事があります。当院では、そのような方は鎮静剤(睡眠薬の一種です。鎮痛薬ではありません)を使って、ボーッとした意識の中で検査を行うことが出来ます。ただし、この効果も個人差が大きく、熟睡してしまって検査終了しても気付かない方がいる一方で、睡眠薬を常用している方やアルコールをよく飲む方は効果が少なくなります。また、薬の効果はしばらく持続しますので、車やバイクなどの運転は出来ないなどの注意事項があります。ご希望の方はご相談ください。